ビルメンに入社するなら、まず基本的な仕事内容は知っておきたいもの。
そもそも、ビルメンとは一般的にビルの「設備管理」のことを指します。
しかし、ビルメン経験が無い方は「設備って、いったいなんのことや…」となりますよね。
ビルメンってどんな仕事をするの?
設備ってどんなものがある?
ぶっちゃけ、ビルメンの仕事ってラク?
ぼくは20代で現役ビルメン8年目、副責任者をやっています。
ぼくの経験も含めて解説しますので、ぜひ参考にしてくださいね!
ビルメンの仕事内容は「点検」と「不具合対応」がメイン
ビルメンの仕事は「点検」と「不具合対応」がメインです!
それぞれ簡単に解説していきますね!
- 点検内容
- 点検サイクル
- 不具合対応の内容
- 不具合対応の頻度
【点検内容】約7種類のビル設備を点検する
ビルメンは「約7種類」のビル設備を点検します。
- 電気
- 情報通信
- 熱源、空調
- 衛生
- 消防、防災
- 搬送
- その他
①電気
まずは、生活には欠かせない「電気」設備の点検について。
電気設備は、法律や電気保安規定など、さまざまな「決めごと」を守って点検します。
例えば「年1回はビルを停電させて点検しましょう!」みたいなのがあります。
具体的には、以下のような設備の点検をします。
- 受変電設備
- 発電機設備
受変電設備
受変電設備とは、変電所から電気をもらった後にいろんな負荷(電灯やコンセント、空調機など)に電気を振り分ける機器のことです。
ふりーだむ 法定点検(年1回の点検)はビルの一部や全体を停電して点検するにゃ。大きなビルだと点検を「業者」に依頼するビルもあるにゃ。
「受変電設備」の点検には目視、法定点検(年1回の点検)などがあります。
発電機設備
発電機設備とは、例えば地震で停電したときに「発電」して電気を使えるようにする設備です。
目視点検や試運転、燃料漏れがないかなどを点検します。
また停電で「帰宅困難」の人向けに携帯電話の「充電スポット」を準備するビルもあります。
ビルメンにおすすめの「電気」の資格はこちら↓
- 第2種電気工事士
- 危険物取扱者 乙種第4類
- 第3種電気主任技術者(電験3種)
- エネルギー管理士 電気分野
この中でも1番のおすすめは「第二種電気工事士」です。
電気の基礎を学べるので「ビルメンに転職したい方」や「これから電気を学びたい方」にピッタリですよ。
②情報通信
電気の次は「情報通信」の設備についてです。
簡単に言うと、ビル内の情報を「送ったり受けたり」する機械のことです。
例えば、以下のような機器のことです。
- 電話
- LAN
- 光ケーブル
実は、ビルメンが「情報通信設備」の点検をすることは「ほぼ」ありません。
しかし、近くで業者が点検していることが多いので専門的な話を聞いたり質問することができます。
通信設備や弱電設備に興味がある方もビルの通信設備は複雑で面白いでしょう。
おすすめの「情報通信」の資格はこちら↓
- 工事担任者
- 電気通信主任技術者
- 電気通信工事施工管理技士
ビルメンの仕事内容とは違った分野ですが、興味がある方はぜひ取得してみてはいかがでしょうか。
③熱源、空調
次は「熱源・空調」の設備点検についての解説です。
空調があれば
- ビル内が「365日」快適になる
- 熱に弱い「機械」を冷やせる
- 換気(空気の入れ替え)ができる
など多くの場所で「活躍」してくれます。
空調設備は具体例に、以下のようなものがあります。
- ヒートポンプチラー、空調機、FCU
- PAC
- 給排気ファン
- 冷却塔
ヒートポンプチラー・空調機・FCU
「ヒートポンプチラー」とは「冷たい水」や「温かい水」を作る機械のこと。
この冷水や温水を「空調機(大きいエアコン)」や「FCU(小さいエアコン)」に通して風を当てると「冷房・暖房」となります。
目視やガス圧力の確認、冷温水の温度変化などを点検します。
PAC
「PAC」とは、簡単に言うと「業務用エアコン」です。
「室外機」と「室内機」を使い、冷房や暖房を作り出します。
ガス圧力の確認、ドレンパン詰まりがないか、各所汚れ具合の確認など点検します。
給排気ファン
「給排気ファン」とは、室内に綺麗な空気を入れたり、トイレなどの臭いを室外へ排出する機械です。
ベルトの張り具合調整やグリスアップ(潤滑剤を注入する作業)、聴音棒でベアリングの異音がないかなど確認します。
冷却塔
「冷却塔」とは、冷水を作る機械のこと。
この冷水を使って、冷凍機(冷蔵庫とかを冷やすための機械)を冷やします。
各ポンプや送風機の点検、冷却塔の清掃なども定期的に行います。
ビルメンにおすすめの「熱源・空調」の資格はこちら↓
- 2級ボイラー技士
- 第3種冷凍機械責任者
- 建築物環境衛生管理技術者
④衛生
「衛生」の設備点検も大切ですね。
衛生設備とは、簡単に言い換えると「水回り機器」のことです。
分かりやすくするため、ここでは大きく分けて「3つ」をご紹介します
- 上水
- 中水
- 下水
上水
「上水」とは、飲むことができる水のこと。
例えば
- キッチンの蛇口の水
- 手洗い器の自動で出てくる水
- シャワーから出てくるお湯
などは「上水」で、「水道法第4条」の基準を守って綺麗な水を供給してくれています。
貯水槽や洗面台周り、ボイラーなどの点検を行います。
中水
「中水」は、飲めない水のことです。
厨房排水や雨水などの水を浄化(綺麗に)して、トイレの水などに再利用します。
中水は「ビル管法」の基準を守っています。
中水槽や浄化槽周りの点検を行います。
下水
「下水」とは、「キッチン・トイレ・お風呂」などから排水された水の総称です。
上水、中水、汚水(トイレから流した水)などが集まった下水は「下水処理場」に送られ綺麗にしてから川に流しています。
ビルメンにおすすめの「衛生」の資格はこちら↓
- 第3種冷凍機械責任者
- 建築物環境衛生管理技術者
- エネルギー管理士 熱分野
⑤消防、防災
次は「ビル火災」から僕たちを守ってくれる「消防・防災」の設備について。
例えば
- 自動火災報知設備
- 消火栓
- 感知器
- 誘導灯
- 防火扉
- 非常シャッター
- スプリンクラー
などの消火設備があります。
この中でも、ビルメンが1番知っておいてほしい機器は「自動火災報知設備」です。
火災が起こると一斉に動作し、消火や避難するまでの「時間」を稼いでくれます。
そして火災が広がらないように、ビルメンは「消火器」や「消火栓」を使って対応します。
どの機器がどんな動きをするのか、覚えておくことが大切です。
ビルメンにおすすめの「消防・防災」の資格はこちら↓
- 消防設備士 乙種第4類
- 建築物環境衛生管理技術者
⑥搬送
続いて「搬送」の設備についてです。
搬送設備とは、具体的に以下のようなものです。
- エレベーター
- エスカレーター
- ゴンドラ
エレベーター
エレベーターは「かご」が上下に動くことでフロアを移動できます。
点検は、ビルメンではなく「業者」に依頼しています。
エスカレーター
エスカレーターは「階段のような足場」で上下階に移動する機械ですね。
「エレベーター」や「エスカレーター」は、専門業者が定期点検や12条点検を行います。
ゴンドラ
ゴンドラは「外側」の窓ガラスを清掃するときに使う機器です。
「専門業者」にゴンドラの点検を依頼し、「清掃業者」に外側の窓ガラス清掃を依頼します。
ビルメンにおすすめの「搬送」の資格はこちら↓
- 建築物環境衛生管理技術者
⑦その他
最後はビルメンならではの点検について解説します。
- メーター検針
- 在庫確認
メーター検針
メーター検針とは、ビル内に設置されているメーターの「値」をメモする作業です。
例えば「電気・ガス・水道」などのメーターがありますね。
メーター検針をすれば
- どれくらい使ったのか
- 異常値がないか
などが分かります。
どこか予想もしていないような場所で「電気・ガス・水」が漏れていたら大変ですよね。
なので、メーター検針は大切な点検なのです。
メーター検針の「やり方」は
- 現地のメーターに行く
- インターネットを使う
などがあります。
在庫確認
ビルメンは在庫管理も大切です。
例えば、点検でメーターの故障を見つけても在庫が無かったら交換できませんからね。
具体的には
- 電球
- 消耗品
などの在庫を数えて、少なくなったら補充するよう手配します。
【点検サイクル】毎日・週1・月1・年1などがある
ビル設備の点検には、次のような頻度(サイクル)があります。
- 巡回点検:毎日1回
- 週間点検:週1など
- 月次点検:月1など
- 年次点検:年1など
巡回点検(毎日1回)
「毎日1回」の点検を、巡回点検や日常点検などと呼びます。
ほぼ全てのビル設備を「目視」で確認しながら、ビル内・外構を歩きます。
防災センター(ビルメンの拠点)には、監視PC(ビル設備の不具合を教えてくれるパソコン)があります。
しかし、ビル設備は「たくさん」あるので、監視PCで全て監視できているわけではありません。
なので、ビルメンが歩いて1つずつビル設備をチェックし、早い段階で「不具合」を発見できるよう毎日点検しています。
週次点検(週1回以上)
「週1回以上」の点検を、週次点検や週間点検などと呼びます。
例えば、以下の点検は法律(ビル管法)で「7日以内に1回」点検すること!と決まっています。
- 残留塩素測定(水が消毒されているかの点検)
- pH測定(中性であるかの点検)
月次点検(月1回以上)
「月1回以上」の点検を、月次点検などと呼びます。
法律を守りつつ、以下のような点検をします。
- 冷却塔清掃:1ヶ月に1回
- 空気環境測定:2ヶ月に1回
- 排水槽清掃:6ヶ月に1回
年次点検(年1回以上)
「年1回以上」の点検を、年次点検などと呼びます。
こちらも法律を守って、以下のような点検をします。
- 貯水槽清掃や検査
- 12条点検
【不具合対応の内容】施設によりさまざまな対応がある
続いては、ビルメンの不具合対応について解説します。
ぼくの体験談も含めて、簡単に解説しますね!
- 電気
- 情報通信
- 熱源、空調
- 建築
- 衛生
- 消防、防災
- 搬送
- その他
①電気
- 球替え
- 雨が降って漏電した
- 過負荷でブレーカーが落ちた
- 地絡で警報が発生した
- 照度が低い
- コンセントが陥没している
- 節電対応
ちなみに、ぼくは不具合対応のときに「感電」したことがあります。
電気はとても危険なので、あわせて知っておいて欲しいです!↓
②情報通信
- Wi-Fiが繋がりにくい
- BS/CSデジタル放送が受信できない
- 監視PCと現地機器との通信ができない
③熱源・空調
- 冷却塔のパネルが飛んでいった
- チラーでエラーが発生した
- 空調機の温度センサーが壊れた
- インバーターが故障した
- ファンベルト劣化、プーリー摩耗
- 室外機の基盤不良(熱暴走)
④衛生
- トイレから〇〇を流された
- シンク下排水管から水漏れ
- 蛇口の根元から水が漏れてくる
- 圧力計が故障した
- 膨張タンクの圧力が低い
- ゴキブリが大量発生している
- 洗面台の水が出ない
⑤消防、防災
⑥搬送
- エレベーターが開閉を繰り返している
- エレベーターが地震で止まった
- エスカレーターが突然止まった
⑦その他
- 猫が迷い込んできた
- 天井から水漏れしている
- グリストラップ清掃で〇〇をぶっ飛ばした
- 自動車がビルにぶつかった
- 人が迷い込んできた
- 自動ドアが動かなくなった
- 扉の閉まるスピードが速い
【不具合対応の頻度】警報・連絡・点検で発見したときなどに対応する
不具合対応は、以下のようなきっかけで始まります。
- 警報が鳴った
- 人から連絡があった
- 点検で不具合を発見した
ビルメンで直せないときは、仮で使用できるようにして本復旧は「業者」に依頼します。
ビルメンってぶっちゃけラク?
結論を言うと、ラクかどうかは「施設」によって決まります!
「ビルメン激務トップ3」の施設は次のとおり。
- 商業施設
- ホテル
- 病院
この中でも圧倒的に激務なのが「病院」です。
例えば
- 患者がいる隣でコンセント修理
- 空調管理が超シビア
- 神経を使うので現場がピリピリしている
なのだそうです。(ビルメン歴35年の父親が語っていました)
なかでも「停電」のときに対応が遅れると、最悪の場合は「生命維持装置」が停止する恐れもあります。
停電時は非常用発電機が動作しますが、緊急時マニュアルを熟読しておかなければ常にドキドキですね…。
初めて常駐ビルメンに挑戦するなら「病院」は選ばない方がいいでしょう。
反対に、一番ラクな現場は「オフィスビル」です。
オフィスの人は「夕方」に帰るので、夜は点検や不具合対応が「ほぼ無い」です。
そのため夜は「自分の時間」を確保できます。
さて、夜の時間はどんな様子なのでしょうか。
次で具体的に解説しますよ!
ビルメンの宿直スケジュールはどんな感じ?
ビルメンには宿直(夜に職場で待機すること)がある現場もあります。
例えば「宿泊施設」は夜もお客様がいます。
何かあればすぐ動けるように待機しているのです。
勉強、資料作成、ちょっと休憩など…仮眠時間まではあなたの使いたいように時間を使ってください。
具体的な宿直のスケジュールについて別記事でまとめましたので、ぜひご参考にしてくださいね!
≫【徹底解説】ビルメンの宿直つらい?24時間スケジュール公開!
ビルメンとは「設備管理」のこと
ビルメンとは「ビルメンテナンス」の略で、大きく分けると
- 設備管理
- 警備
- 清掃
この3種類に分類できます。
その中でもビルの「設備管理」のことを「ビルメン」と指すことが多いです。
こんな理由で、求人を探すときも「ビルメン」よりも「設備管理」の方が検索しやすいのです。
ビルメンの求人を探す方法は、以下の記事でまとめていますので参考にして下さいね!↓
【有料級】常駐ビルメン求人の探し方!7つの優良企業を見分けるチェック項目
まとめ
今回は「ビルメンの超具体的な仕事内容」について解説しました。
他のビルメンについてのノウハウも、ぜひ参考にしてくださいね!